JANTZEN COLUMN vol.25
日本製&エコフレンドリーにこだわって。
JANTZENのダウンジャケットの“中身”は、
「河田フェザー」で精製されたクリーンな羽毛
2023.12.22

ジャンセン(JANTZEN)の理念や考えに基づき、そこから派生したライフスタイルに纏わる“ヒト・モノ・コト”にフォーカスしていく連載企画「JANTZEN COLUMN」。

vol.25では、毎年好評いただいているジャンセンのダウンジャケットの中身についてご紹介。普段、商品を紹介する際には着用時のシルエットをはじめとするデザインのポイントにフォーカスしがちですが、表立っては見えない部分にもこだわりがあるのです。中でも、ダウンジャケットの中身にあたる“羽毛(ダウン)”には、生産当初よりこだわってきていて、国内製造している「河田フェザー」の高品質な羽毛のみを使用しています。

実際に河田フェザーで精製された羽毛の一種。こちらは昨今需要が高く貴重な「グリーンダウン」と呼ばれるリサイクル羽毛。

今回は、貴重な機会をいただき、三重県多気郡明和町にある羽毛工場「河田フェザー」を訪ねました。同社の生産のこだわりとアウターやふとんなどに使われる“ダウン”の精製工程をレポートします。

100年以上続く「河田フェザー」の“高品質”な羽毛と、
そのこだわり

三重県明和町に工場がある「河田フェザー」は、今年132周年を迎える老舗で、現社⻑の河田敏勝さんは5代目。ジャンセンのダウンジャケットの中身は、ここで精製された羽毛です。

広い工場内部には、諸外国のメーカーと協力し、現社⻑の敏勝さんが独自設計した精製機械などが立ち並ぶ。どこかハンドメイド的なクラフト感がある機材も。

工場内を見学させていただきながら、現取締役の河田勝幸さんに「河田フェザー」のこだわりを伺う。

「河田フェザーでは、品質にこだわって世界一の逸品と言えるような羽毛を生産し続けています。うちの羽毛は新毛のダウンもグリーンダウン(リサイクルダウン)も“無味・無臭”が自慢です。これにこだわるようになったのは、現社長がセンシティティブな体質で、匂いやアレルギー物質に敏感だったことが原点。アレルギー体質の人も羽毛特有の匂いが気になる人も、大人から子どもまで安心して使える羽毛を作ろう!と築き続けてきたものが現在の河田クォリティです」(取締役 河田勝幸さん、以下同)

そんな“河田クォリティ”を維持する上で欠かせないのが、次の3つのキーワードだそう。

「水と気候」「素材の羽毛」「除塵(じょじん)」
河田フェザーがこだわる、の3つのキーワード。

1.羽毛の洗浄は大台ヶ原山地などが水源の“超軟水”を使って

良い羽毛を精製する上で欠かせないのは、しっかりとした洗浄。そのために河田フェザーが用いるのは、飲用も可能な還元力が高い超軟水。工場の⻄方には、国内有数の降雨量を誇る大台ヶ原山地があり、山地に降った大量の雨は 1000 年以上の⻑い年月をかけて水に溶ける鉱物を洗い流し、ミネラルをほぼ含まない超軟水となって地下に流れています。そのため、工場のある伊勢明和地域では、浸透力が高く、羽毛の隅々まで浸透し、アカや脂肪分などの汚れをきれいに取り除くことのできる還元力の高い超軟水(飲用可能)が採取できるのだそう。いつも新鮮な水だけを使用することは、無味無臭できれいなダウンを精製するうえで重要。また、工場のある三重県明和町は、一年を通して湿度が上がりにくく、除塵に適しているところもポイントなのだとか。

2.“原料となる羽毛”の収集は、食肉用の水鳥の副産物として、もしくは不用になった羽毛製品から回収

写真は、精製前の羽毛原料。主にグース(ガチョウ)とダック(アヒル)の2種類があり、原料として搬入された時点での羽毛は、汚れや皮脂が付着し、しっとりとしている。河田フェザーでは、食肉用水鳥の副産物として原料を回収するほか、グリーンダウン(リサイクルダウン)として精製・回復するため、不用になった羽毛ふとんをはじめとする羽毛製品からも原料を回収している。

3.品質重視でしっかり“除塵”

特殊な除塵機の管理用小窓を開くと、精製途中の羽毛から取れたほこりや汚れがこんなにびっしりと付着……!

重さ単位で取引されるダウンは、ゴミや汚れ、傷んでいる部分の羽を取り除けば取り除くほど量が減ってしまう。なので正直、適度に除塵して、羽毛の重さに加算することもできなくはないが、きれいで高品質なダウンを提供することを最優先にする河田フェザーでは、しっかりきっちり2度の除塵工程を行う。

洗浄・除塵 etc… 河田フェザーでの主な精製工程のこと

前述の3つのこだわりを基盤として精製される河田フェザーの羽毛。原料から河田フェザーの羽毛となるまでの主な工程は、以下の通り。

【河田フェザーの羽毛精製工程】
①原料入荷(食用のグースやダックの羽毛、または使用済み羽毛製品)
②1回目の除塵(大きなゴミやホコリを取り除く)
③還元力の高い超軟水で洗浄
④洗われた羽毛を乾燥機にかける
⑤2回目の除塵(冷却除塵)
⑥羽毛の選別
⑦専門機関のラボで品質チェック
⑧羽毛のブレンド(羽毛は天然のもので、個体差もあるため、他のロットの羽毛とブレンドすることで、一定の品質に整えている)
⑨精製完了


①から⑨の工程を行うことで、高品質なダウンへと精製されるのです。なお、グリーンダウン(リサイクルダウン)の場合もこれと同様の工程を行い、①の原料が不要になった羽毛ふとんやダウンジャケットとなります。

【工場内スナップ】

羽毛を洗うための大型の洗濯機、還元力の高い超軟水を使って洗浄する。

まるで雪の日の窓の外のようなこちらは、洗浄・除塵後に羽毛を選別している工程の1コマ。選別機では、風を循環させて、特性のことなる「ダウン(羽毛)」と「フェザー(羽根)」を仕分けている。

工場の一角には、一般社団法人 UMOU サイエンスラボという、2015年に設立した羽毛専門の試験機関が入っている。国際羽毛協会(IDFB)の認定試験機関で、国内には3ヶ所あり、そのうちのひとつが河田フェザー内に。ここでは、ダウン、フェザー、その他といった具合に、羽毛の組成分析を行ったり、かさ高性試験や、清浄度試験などを行ったりする。

「UMOUサイエンスラボ」でされている組成分け。ひと口に“ダウン”といえど、想像より奥深くて繊細に分けることができる。

こうして衣類やふとんの素材として精製されたダウンは、各アパレルメーカーや商品制作のオーダーに合わせて、適宜搬出されていきます。

ジャンセンのダウンジャケットの中身は
河田フェザーで精製された「グリーンダウン」

ダウンの精製工程がわかったところで、最後に実際にジャンセンのダウンジャケットに使われている「グリーンダウン(リサイクルダウン)」についてもご紹介。

ジャンセンのダウンジャケットの中身には、河田フェザーで精製されたリサイクル羽毛の「グリーンダウン」が採用されています。「グリーンダウン」は、エコフレンドリーなだけでなく、一般的な新毛ダウンよりも3倍キレイといわれていて、アレルギー物質やニオイに敏感な人でも安心して使用できる、今注目の高品質ダウンなのです。

不用になった羽毛ふとんをはじめとする羽毛製品から生まれる「グリーンダウン」

「グリーンダウン(リサイクルダウン)」の素材となるのは、不用になった羽毛ふとんをはじめとする羽毛製品。それらを回収し、各製品の中に詰まっているダウンを取り出します。

取り出した羽毛は、河田フェザーの羽毛精製工程で、ホコリやアカを取り除き、細部まで研ぎ洗いし回復加工を施します。品質管理のために厳しい検査も実施し、通常ではチェックしないような細かなホコリや未熟な羽毛を取り除くといった手間をかけ、保温性をはじめとする本来の機能を保つ羽毛だけが選び抜かれていきます。

※なお、不用になった羽毛ふとんをはじめとする羽毛製品の回収に関しては河田フェザーだけではなく、河田フェザーも参加する“Green Down Project”のメンバーで一丸となって行っており、グリーンダウン(リサイクルダウン)の精製は、現在河田フェザーのみで担っている。Green Down Projectの詳細はこちらから。
※ジャンセンのダウンジャケットに使用しているのは河田フェザー製のグリーンダウン(リサイクルダウン)です。

「グリーンダウン(リサイクルダウン)」はリサイクル素材と言えど、キレイに精製(厳選・洗浄回復)されているので、新品の羽毛よりもよりキレイで、アレルギー物質やにおいもより軽減され、高い保温性を誇る“高品質の羽毛”といえるのです。

そうして厳選された羽毛は、ジャンセンのダウンジャケットをはじめとする様々な製品となって、改めて市場に人々の手元に渡っていきます。

なお、近頃はリサイクルやサスティナブルな取り組みが当たり前になってきて、この「グリーンダウン(リサイクルダウン)」も色々な場所で活用されているようです。

ダウンは、100年使える素材

世の中のエコ意識の高まりも相まって、グリーンダウン(リサイクルダウン)の需要が増えてきた昨今。 「ダウンというのは、適切な処理をすれば100年は使える素材。だから、不用になった製品の中身のダウンのリサイクルというのは必然だったように思います。河田フェザーでは、グリーンダウンも新毛と同じような手順で洗浄・除塵処理を行います。それは単純に考えて、2度目の精製となるので、一般的な新毛ダウンよりきれいなダウンである、というところもポイントです」

新毛も、グリーンダウンも、安心・安全・高品質な羽毛を提供している河田フェザー。詳細は、下記のWEBサイトにて。同社の羽毛を使ったオリジナル寝具も展開されているので、合わせてチェックしてみて。

河田フェザー
WEB:https://kwd.jp/


photograph_Sairi Todoriki / edit_Ryoko Suzuki
cooperation_Yume Takakura